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際限の無い飢餓と怒りこそが人類の根源。みずは無間の感想

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ふがしです!

本屋をぷらぷらしてたら、以前単行本で出てたみずは無間が、文庫化(ハヤカワ文庫なんで特殊版型だけど)されていました。

どうにも文庫じゃないと持ち歩いたりするのに不便なので手が出なかったのですが、これを機に読んでみることに。

無人探査機のAIとして搭載された主人公が繰り返し思い返すのは、地球に残してきた過食症のメンヘラ彼女や、実体である自分自身のその後のこと。宇宙へ出てから数百年、地球のあらゆる情報を持つ情報知性体なんかを作ったり、自分を改造したり、分裂させたりするのが、主人公の暇つぶし。

話が進むにつれて、時間の経過していく速度が早まっていき、人類はどんどん進化していく、だけれども銀河は果てしなく広く、宇宙はそれ以上に広い。

やがて、主人公の記憶の中で繰り返し繰り返し繰り返し思い返される、過食症のメンヘラ彼女”みずは”の『飢え』と、主人公よりも後に地球を経った少女のAIの『怒り』と、自らが作り出した情報知性体が、恐ろしい事態を引き起こす。

てな感じのお話。普段は円城塔以外のSFをほとんど読まない僕には、みずは無間はかなりガチンガチンチンにハードなSFでした。飛び交うSF用語をひっきりなしにぐぐりーのぐぐりーのする必要があったけれど、時間と空間スケールの大きな話が好きな僕は、とても楽しめました。

 

由緒あるハヤカワのSFコンテストを受賞しただけのことはある読み応えです。興味のある人は是非!

―――おわり


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